[色者(しきしゃ)のぼやき] 第42回

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「Wishful Singing Tour Japan in Tokushima, August2011」

日時:2011年8月22(月)
場所:あわぎんホール

昨年秋、作曲家の松下耕先生率いる合唱団グループ「耕友会」さんの事務局から、「来年の軽井沢合唱フェスティバル2011」で、オランダから女声合唱グループを招待するのだが、彼女らがその後日本で演奏旅行をやりたいと言っている。是非四国でも会場を設けてくれないか?」という依頼を受けた。

日本国内の合唱団ですら招待する機会がなかった我々に、海外からの合唱団をどうお招きすればいいのか・・・それも日程的には非常にタイトで、8月22日(月)と指定されていた。

もう1年をきっているがホールはとれるのか?平日のコンサートでお客さんは来てくれるのか?チケット代金はいくらに設定すればいいのか?会ったら何を話せばいいのか?ていうか話せるのか?きけるのか?

探せば不安要素は限りなかったが、以前「響」が軽井沢で大変お世話になった「耕友会」さんからのお願いであり、これは“徳島の合唱”が変われる大きなチャンスと捉え、ふたつ返事で引き受けることにした。

演奏会の主役は【Wishful Singing】という、オランダの5人編成女声アカペラグループ。ヨーロッパを中心に活動し、数々の国際コンクールで輝かしい成績を残しているまさに世界レベルの団体である。幼少時より音楽に親しみ、合唱に親しみ、当然のように本場の音楽教育を徹底的に受け、世界の指折りのアンサンブルグループに成長した、その彼女らが異国の地「日本」、しかも合唱文化が根付いていると到底言えない「徳島」まで足をのばして、演奏をきかせてくれる♪・・・夢のような話しにしばし思考回路が止まるほどだ。

彼女らも特にに、のんびりと旅行をしにくるわけでもない。8月20日は軽井沢合唱フェスティバルで招待演奏 → 21日は埼玉公演(賛助出演:Brilliant Harmony)→ 22日は徳島公演(賛助出演:徳島男声合唱団「響」)→23日は京都公演(賛助出演:アンサンブルアカデミー京都)そして翌日には帰国するとのこと・・・ツアー中に疲れが出ないか、とても心配だ。埼玉および京都の賛助団体も、全国的に名の知れた団体がサポートし、演奏レベルも彼女らと遜色ないレベルの演奏が期待できる。。。う〜ん、本当に徳島 公演は「響」で大丈夫なのか???

演奏会の日が近づいてくるにつれ、期待と興奮と不安と焦りが交錯し、何も手に着かない自分に呆れていた。それでも幸い、藤川団長、枝川マネージャー、そして「響」メンバーの手助けで、マネージメントは着々と進んだ。あとは「響」による“前座演奏”だ・・・まあ、背伸びせずに自分たちらしく歌いたい♪なんの遠慮もいらない地元徳島での演奏会なんだから☆

そして当日のお昼の便で、Wishful Singingが東京羽田から徳島に到着。しばしホテルで休んでからホールに移動、疲れも見せずリハーサルをこなしていた。驚いたのは発声練習は楽屋内でワイワイ、ガヤガヤとやって(半端ない大声が楽屋から漏れてきた♪)、ステージリハではちょこちょことピッチを合わせるぐらいの練習しかやらない・・・すでに本番に合わせて調整しているようにみえる。ますます本番が楽しみになる。

響は、今回1つのステージしかこなさないので、ほとんどの時間をスタッフとして動いた。まずは開場に際してロビーでお出迎え♪午後に雨が降ったにもかかわらず、開場前には雨もやみ、予想以上のお客さんがつめかけてくれた。とてもうれしかった。演奏前にお客さんにご挨拶するのは、緊張しつつも、やる気も俄然沸いてくる・・・いいテンションを保ったまま、本番に臨むことができた。

まず、響の演奏で幕開け♪
「故郷」「時代」「歩く」「Choo Choo Train」「ゆめみたものは」を順次演奏。時間の都合もあり、途中のMCもなしでほぼぶっ通しだった。しかし「Choo Choo Train」を歌った(踊った?)あとは、さすがに息が切れて、しばしTime!・・・会場から「がんばれぇ〜!」と声がとんだ。地元らしくていい★

その後、Wishful Singingが登場♪
休憩を挟んで25分ほどのステージを2つこなした。オランダの風車のある長閑な風景を思いおこさせるような澄んだハーモニー、曲によってはアップテンポで軽快に、または情熱的にゆれる心の底からの魂の叫び・・・たった5人の女性なのに、 かつてこのホールを、そして観客を、これだけ包み込むようなアンサンブルは(当然のごとく)聞いたことがない。

そして彼女らのステージをみていて一番感じたことは、演奏曲はすべて英語、ラテン語、オランダ語など海外の言葉だったが、そのどれもが曲のイメージを、われわれ日本人でも理解できるぐらいの表現力であったことである。言葉は通じな くても音楽を通して、相手に気持ちを伝える技術、本当に素晴らしいと思った。さらにはお客さんに対する気配り♪・・・曲ごとに彼女らが交代で解説していくのであるが、日本語なんて話せるはずのない彼女らが、すべて日本語で曲解説をしたのである。。。しかも、カンペなしで!これには驚きというか敬意を表するほど。日本に対する思いを十分に受け取ることができたし、やはりこれこそ“プロ”なんだなあと感心してしまった。ちなみに徳島では、休憩時間にある程度の人たちが、途中で帰ってしまう光景がよく見られる・・・ボクもその休憩時間帯にロビーにいたが、僕の見たところ誰一人として途中で帰ってしまう人はいなかった。お客さんはとても正直だ♪

プログラム上の演奏がすべて終了し、当然のごとくアンコールをリクエストする客席・・・1曲終わって、2曲ぐらいは想定内だったことだろう。しかしあつかましい徳島の観客はその後もアンコールを要求!Wishful Singingの彼女らは結局4曲のアンコール曲を披露した。(あとできいたことだが、彼女らも「アンコールで4曲も歌ったの初めて!」と言っていた。)それでもちゃんと歌える持ち歌があるのは、やはりプロとしかいいようがない☆でも、いつまでも聴いていたかった。。。というのが、あの日その場に立ち会った人みんなの感想だったのではないと思っている。

準備も大変で、当日もバタバタして、結局はあっという間に終わった・・・という印象だった。結局Wishful Singingは滞在24時間足らずで徳島をあとにしたが、本番終了後いっしょに「ふるさと」を歌い、いっしょに食事をして、徳島にたく さんの思い出を残していってくれた。自分が「合唱をしていて本当によかった♪」と心から思うことができた一日だった。

もう彼女らには会う機会がないかも知れないし、ひょっとしてあるかも知れない・・・そんな想いを胸に、またあらたに合唱活動を続けていきたいと思う。

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−2011年2月22日更新−
© 2011 徳島男声合唱団「響」