[色者(しきしゃ)のぼやき] 第35回
第2回 全国男声声楽アンサンブルコンテスト“三田ハモらっせ!”
日時:2009年3月22日(日)
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場所:三田市総合文化センター
郷の音ホール(兵庫県三田市)
3月22日早朝、前日の天気を引きずってか徳島は風雨が強く悪天候!思わず2年前の宝塚で遭遇した台風を思い出す・・・今日は無事帰れるのかなぁ。西宮に寄る用事があり本体と別行動。渋滞もなく車を走らせて予定通り三田に着はずが、インターの降り間違いでUターンを繰り返し、結局本体より遅れること20分、無事会場に到着。車で来る団体は少ないのか駐車場はガラガラで、易々と車を停めることはできた。急いでホールにかけこむ。のっけから調子悪いなぁ・・・。
<会場入り・リハーサル>
会場の三田市総合文化センターは、近年完成した広い空間をもたせたとても明るいホール。たくさんの会議室や大小ホールを備え、まさに市民の憩いの場となっているようだ。会場はマニアックな男性ばかりかと思いきや、結構観客として女性の数も目立つ。もともと知り合いの他団体のメンバーや、全四国に来てくれたアルシェのメンバー、さらにはバッカスで知り合ったメンバーなど、関西はもう四国と同じぐらいの数の知り合いに遭遇する・・・同じ全国大会といえどリラックスモード全開となる。響の練習場所に向かう間にも、いろんな合唱団が練習しているのがガラス張りの通路から見える。振り付けをしている団体はかなり入念に動きをチェックしながら集中している感じだった。その素晴らしさに目が釘付けになってしまう(←結果としてこの合唱団が大賞を取ることに!)。こちら も徐々に気分が高まってくる♪練習は楽器のセッティング(木魚・鈴)などに時間をとられ、正味20分ぐらいの声出しで終了・・・まぁあんまり朝から大声出してもピッチ決まらないし、ちょうどよかったのかもしれない。最後に小ホールで10分ほどのリハーサル。立ち位置確認とホールの響き具合を確認、小ホールでもかなり響く。とにかく焦って走らないように!という注意のみ徹底し、舞台袖に待機する。
<本番>
響は2番目の出番なので、舞台袖でトップバッター「三田男声合唱団」の演奏を聴く。「水のいのち」から「海よ」が聞こえてくる・・・思わず口ずさんでしまう♪ホールで聞いているわけではないのでなんとも言えないが、堂々としたよどみのない男声合唱らしい響きが耳に心地よい。普通は緊張におそわれる舞台袖での自分であるが、今日はとても心おだやかにいられた。あとでパンフレットを見ると、三田男声の指揮者は、むかし自分が学生のころ「関西医歯薬合唱連盟」という超マイナーな団体が演奏会をしている時に、いやな顔もせず合同指揮を引き受けてくれた高山惇先生であったことを知って愕然とした。あとでお姿を探すもお会い できずに残念だったが、今もお元気で指揮されていることがわかりとてもうれしく思った♪ついに「響」の本番・・・思ったより舞台がせまい!いつものランダムオーダーで並ぶと、指揮者が演奏者に囲まれるようになってしまった・・・ま、もう今更変更できんし、そのまま演奏に入る。曲は「合唱のためのコンポジション第14番・勧請(kanjo)」・・・周りの雰囲気にのまれひたすら走り続けた東京でのリベンジの意味もある。供養しようとする神仏を呼び寄せるという意味のこの「勧請」は、仏教の中でも神秘的な修法を重視する密教で用いられる。予想通りホールはとてつもなくよく響く。無駄な音量は全く必要ない。“「歌」よりも「祈り」”を前面に出すことを目標として、「四方四」「十六八供」「外金剛」「両部界会」・・・曼陀羅を囲む仏の名を丁寧に、かみしめるように読み上げることに集中した。結果、十分に落ち着いた「出だし」であったように思われる。途中から悟りをひらいたかのように感極まると、今度はソリスト3人とのかけ声 のやりとり、そのあと後半の盛り上がりへ一気に突入するというひとつの流れもしくはメリハリのようなものも今回は出せたように感じた。演奏中の会場は、あまりの現実からかけ離れた題材のアンサンブルに終始静かで、こちらとしても何か恐いぐらいの緊張感を感じた。最後の木魚の乾いた音が会場に響き、静寂の中その余震を数秒間?楽しめたのも、個人的にはうれしかった。
<審査結果>
●大賞・・・・・・・・・・・The Lockers(兵庫県)
●最優秀賞 大編成部門・・・徳島男声合唱団「響」(徳島県)
●最優秀賞 小編成部門・・・音羅(Onra)ヴォーカル・アンサンブル(岡山県)
●優秀賞・・・・・・・・・・枯れ木も山のにぎわい(京都府)
●優秀賞・・・・・・・・・・Framework(兵庫県)
●優秀賞・・・・・・・・・・いおりんず(大阪府)
●市民が選ぶ三田賞・・・・・The Lockers(兵庫県)
●審査員特別賞・・・・・・・男声カルテット G5(愛知県)
●審査員特別賞・・・・・・・ドリームボイス!!(兵庫県)
ちなみに審査員の先生がたは下記の通り(敬称略)
★日下部吉彦(音楽評論家/関西合唱連盟会長/大阪音楽大学理事)
★三枝成彰(作曲家/三田市総合文化センター音楽アドバイザー)
★姿月あさと(ヴォーカリスト)
★時勝矢一路(太皷表現師)
★洲脇光一(合唱指揮者/関西合唱連盟最高顧問/甲南女子大学名誉教授)
★村松崇継(作曲家/ピアニスト)
★佐々木次彦(三田市総合文化センター音楽部門プロデューサー)
★三田市民審査員(30名←公募で選ばれた市民のみなさん)
「The Lockers」さんは、広瀬康夫先生が率いるイケメン揃いのとても若いグループ。出演順の関係で聴けていないが、おそらく関西学院グリークラブを中心とする澄んだハーモニーと息の合ったパフォーマンスで客席を魅了したものと思われる。他にも、「音羅」さんは「合唱団こぶ」(←去年の中国合唱コンクールで聴いた!メチャうまかった♪)のメンバー、「枯れ木と山のにぎわい」さんは合唱団京都エコーの男声陣、「Framework」さんは関西学院グリー歴代指揮者によるカルテット、「いおりんず」さんは大阪教育大学のカルテット、他にも去年大賞を受賞した「好っきゃねん」さんや、最優秀賞の「ARCHER」さんなど・・・錚々たるメンバーの中で、「響」が入賞できたことは奇跡に近い。何がよかったのか見当もつかないが、無心で祈りとおした!ということが客席に伝わったということか。これまで賞金や副賞なんてもらったことなかったので、舞台上では落ち着きを欠いてしどろもどろしていたが、まぁたまにはそんなこともあっていいのかな?・・・と。正直、これからの響をどのように舵取りしてやっていけばいいのか悩んでいた時期でもあったので、今回の評価がちょっと自分のやる気を起こさせてくれたようだ・・・イチローの言葉を借りれば「神様がおりてきた♪」というべきか。来月から新しい年度がスタートする。響の総会もすでに三田での昼食会で済まされ、すべて承認された。全国を走りまわった今年度とはちがって、来年度の「響」はじっくり地元に腰をすえて練習ならびに演奏活動をしていきたいと思っている。
−2009年3月29日更新− |